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窒化チタンナノ粒子による太陽光の高効率吸収国立研究開発法人 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 石井 智,長尾 忠昭

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 プラズモン共鳴は金属ナノ粒子中の自由電子が光照射によって集団振動する現象であり,金や銀などの貴金属ナノ粒子のプラズモン共鳴を利用した研究は光学の分野だけでなくイメージングやセンシング,化学反応など様々な用途に広がっている。しかし,プラズモン共鳴は貴金属に限った現象ではなく,キャリア密度の高い物質であれば励起される。そのような代替プラズモニクス材料の一つとして窒化チタン(TiN)がある。TiNは金属的なバンド構造を持ちキャリア濃度が1022cm−3台のため,TiNナノ粒子に光を照射すると可視域でプラズモン共鳴が起こる。
 さて,プラズモン共鳴が起こると光の散乱だけでなく吸収も最大となる。TiNのプラズモン共鳴は貴金属の場合とは異なり広帯域でそのバンド幅は可視域から近赤外域まで含むため,太陽光の分光スペクトルとおよそ一致する。本研究ではこの特性に注目し,TiNナノ粒子の太陽光吸収性能を評価した。比較のために,代表的なプラズモニック材料である金のナノ粒子と黒い材料の代表格である炭素のナノ粒子も同様に評価し,その結果を図1(a)に示す。図1(a)よりTiNナノ粒子は粒子1個当たりの太陽光吸収効率が金や炭素のナノ粒子よりも高いことが分かる。
 TiNナノ粒子の高い太陽光吸収効率を生かすことで,太陽光を吸収して熱に変える光熱変換の利用が見込まれる。その最も単純な実施例として,TiNナノ粒子を水に分散して水の加熱や蒸留を行うことが考えられる。実際にTiNナノ粒子を水に分散すると,入射した太陽光の約90%を吸収し熱として水に伝えることが分かった。特徴的なのは,TiNナノ粒子は水蒸気を速く発生できることである。水に分散したTiNナノ粒子に室温で集光した太陽光を照射すると,開始数秒後には目視できるほどの水蒸気が発生する。その様子を撮影したのが図1(b)の写真である。太陽光照射によってTiNナノ粒子の極近傍のみが局所的に加熱されるため,水の蒸発が促進されると考えられる。

参考文献
S. Ishii, R. P. Sugavaneshwar, and T. Nagao, “Titanium nitride nanoparticles as plasmonic solar-heat transducers,” J. Phys. Chem. C, 120, pp. 2343-2348(2016)

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