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レーザー振動計測と三次元画像計測を 落石の危険度評価に応用鉄道総合技術研究所 上半 文昭

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 鉄道沿線の岩盤斜面からの落石事故を未然に防ぐためには,事前に不安定な岩塊を抽出し,対策を行う必要がある。しかし,これらの不安定岩塊が存在する岩盤斜面には人が容易にたどり着くことができないことが多く,遠方からの目視による定性的な調査が行われている。そこで,レーザー振動計測ならびにステレオ法による三次元画像計測を応用して,高所や遠方に存在する岩塊の振動や形状を安全かつ効率的に測定し,落石の発生危険度を定量的に評価するためのシステムを開発した。
 開発したシステムは,図1に示すように(a)非接触振動計測システム,(b)空撮測量システム,(c)数値解析による危険度評価システムの3つの要素で構成される。図2に示す非接触振動計測システムは,不可視光のレーザードップラー速度計に自己振動の補正機能を付加することで,屋外環境で平時の極微小な地盤振動である常時微動(振幅はμ以下のオーダー)を測定可能にしたものである。評価対象の岩塊を含む岩盤斜面に向けてレーザーを照射することによって数十mから数百m離れた位置にある岩塊の卓越周波数(固有振動数)を推定することができ,この卓越周波数から落石危険度を簡易に評価することができる。常時微動で卓越周波数を検出できない場合には,長距離音響発生装置を用いた遠隔加振によって岩塊の振動を励起する。また,図3に示す空撮測量システムは,ドローンに平行ステレオカメラを搭載したものである。岩塊に接近して空撮することで,岩塊の周囲のひび割れなどの外観情報を収集するとともに,ステレオ法により岩塊の三次元形状を座標点群データとして取得できる。岩塊を複数方向から撮影して取得した三次元形状データを重ね合わせることにより,撮影方向による死角が無い岩塊の全周囲形状を測量することができる。
 さらに,図1(c)の数値解析による危険度評価システムでは,空撮で得た岩塊の三次元形状データの表面及び内部に6面体要素を配列することで対象岩塊のFEM解析モデルを半自動的に作成する。次に,岩塊モデルと基盤岩との接合部の位置と面積によるパラメータ解析を実施し,非接触計測で得た実測振動特性と比較することによって岩塊の背面のひび割れの進展状況を推定するとともに,自重ならびに想定地震動に対する落石危険度を解析的に評価する。
 本システムの導入により,高所や鉄道用地外に位置する岩盤斜面の落石危険度の定量的な評価が可能となり,検査作業の安全化・省力化も図れるものと期待される。なお,本開発の一部は,国土交通省の技術開発費補助金を受けて実施した。

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