【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

高温プラズマの複雑な空間・時間変化をバーチャルリアリティーで可視化核融合科学研究所*,兵庫県立大学**,海洋研究開発機構***
石黒静児*,大野暢亮**,大谷寛明*,松岡大祐***,堀内利得*

  • 説明文
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 多数の荷電粒子からなるプラズマは非常に複雑な振る舞いをします。この複雑な空間・時間変化を調べるうえで,スーパーコンピューターによるシミュレーションが重要な役割を果たしています。シミュレーションは複雑な高温プラズマ挙動をコンピューターの中で再現します。このコンピューターにより作られたプラズマの様子を可視化して研究者が調べる装置として,核融合科学研究所では,研究者がプラズマの中に入って観測することができる没入型バーチャルリアリティー装置を設置しています。観測者は実際に物体が目の前にあるかのように感じることができ,観測者が動いたり,コントローラで対象を動かしたりすることにより,プラズマ現象をさまざまな角度から観測することができます。
 これまでは,プラズマシミュレーション結果からある特定の時刻のみの情報を取り出して,このバーチャルリアリティー装置で観測していました。しかし,実際のプラズマは時間とともに変化します。そこで,時間とともに変化するプラズマの振る舞いを3 次元空間の中に入って観測するシステムを構築しました。このシステムでは,時間を進めたり止めたりしながら3 次元空間でのプラズマの振る舞いを観測することができます。つまり,空間の3 次元と時間の1 次元をあわせた4 次元空間の中に入ってプラズマ挙動を解析できるようになりました。
 写真は,観測者がバーチャルリアリティー装置の中に入って,高温プラズマの作る時間的に変化する磁場中での粒子の運動を解析している様子です。複雑な磁場変化および粒子運動を4 次元空間で観測します。
 このようにバーチャルリアリティー装置を使えばコンピューターが作るさまざまな世界に観測者が入ることができ,人間の認識能力を総動員して事象を「目の当たりに」観測することができます。時間変化するプラズマをバーチャルリアリティー装置で観測することが可能になったことで,プラズマを構成する粒子の急激な加速・加熱現象などの解明が進み,核融合プラズマの理解がさらに進展することが期待されます。

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