【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

光駆動おみこし東京農工大学 大谷幸利

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 近年,ナノ・マイクロアクチュエーターの研究開発が盛んに行われており,光を駆動源とするアクチュエーターも提案されている。光駆動は,「非接触で指向性良くエネルギーを供給できる」,「電気,磁気ノイズに強く,外部に対してはノイズを与えない」,「エネルギーの供給と同時に情報の伝達も可能」という特徴をもつ。したがって,高磁場中,真空中や放射線中などの特殊環境下において遠隔作業を要する場合に,光駆動アクチュエーターが有効である。
 吉澤徹先生(現在・埼玉医科大学教授)の助手をしていたときに「光でものを動かす」というテーマをいただき,光による静電吸着や感温フェライトを用いた光駆動アクチュエーターの開発に関わった。7年前自分の研究室をもってからも,新しいアイデアでの光駆動のテーマに取り組んだ。光ファイバー・カンチレバーにより3本足をフォトサーマル駆動する光駆動アクチュエーターの研究を松葉泰人君(現在・ニコン)とスタートした。この研究は後に平井祐治君(現在・オリンパス)が光駆動マイクロ・マニピュレーターとして発展させた。また,カナダ・ウエスタン・オンタリオ大学の研究グループが,マニピュレーターとして利用して国際会議発表までしてくれた。ただ,基本原理のフォトサーマル効果は熱を使うため応答速度に問題があった。そこで,熱以外の原理で光照射によって変形する材料を探していたところ,アラバマ農工大学から短冊状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)に光照射をすることで焦電効果が起こり変形することが報告された。そこで,さっそく西村真一君(現在・池田銀行)が卒論でPVDFを足にした光駆動アクチュエーターの開発に取り組んだ。このときはPVDFに付いている銀薄膜の扱いが微妙で卒論提出直前にようやくアクチュエーターが動いたことを思い出す。
 写真は最新のPVDFを用いた多足型光駆動アクチュエーターである。この光駆動アクチュエーターは平成17年度から科学研究費特定領域研究「ブレイクスルーを生み出す次世代アクチュエーター研究」に採択された。水谷康弘君(現在・東京農工大学教務職員)が胴体をPVDFにして8本の光ファイバー製の足を持つ多足走行型へと展開を図り,半導体レーザーの光を照射することでPVDFに光焦電効果を発生させ20mm/secでの光駆動が可能となった。
 このアクチュエーターは将来的には特殊環境下で微粒子などを運ぶことに使えるかもしれないことから光駆動微小荷台となってしまった。さらに,センサー機能をつけて光駆動ロボットにしたいとも考える。
 「光駆動おみこし」は取材に来た記者さんの命名なのだが,実際の記事には採択されず幻の名前となってしまった。

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