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XFELと顕微鏡の相補利用で生体試料を高効率に観察理化学研究所(理研) 研究グループ

 理化学研究所(理研)の研究グループは,X線自由電子レーザー(XFEL)を光源とするコヒーレントX線回折イメージング(XFEL-CXDI)法での生体試料観察に,光・電子相関顕微鏡法を相互補完的に利用することで,観察の効率化と信頼度の向上を実現したと発表した。さらに,同グループが2015年に提案したイメージング法により,高分解能かつ高信頼度の像の取得が可能なことを実証した。
 XFEL-CXDI法は、光学顕微鏡や電子顕微鏡では観察が難しい1μm程度の大きさの細胞や細胞内小器官などの内部構造を,試料の染色や切片化をすることなく,そのまま数10 nmの分解能で可視化できる手法である。特に,試料を瞬間凍結して極低温下で観察を行う低温XFEL-CXDI法を利用すれば,細胞が機能している状態の構造を維持しながら観察できる。
 一方,生体試料からの回折シグナルは微弱であり,また,XFELを照射された試料は直後に破壊されるため,低温XFEL-CXDI法では試料を覆う氷を極力薄くするな ど,複数の試料条件の検討が必要である。その際,直接観測されるのは実像ではなく,試料からの回折パターンであるため,観察対象の像が正しく再生されているかも 確認する必要があった。
 同グループは,まず,低温下での光学顕微鏡や電子顕微鏡観察により,低温XFEL-CXDI法に求められる試料の作製条件の事前検討を可能とした。次に,光合成を担 う細胞内小器官である葉緑体を対象とした低温XFELCXDI実験をXFEL施設「SACLA」を用いて行い,イメージングするうえで必要な回折パターンを高い再現度で観測することに成功した。さらに,低温光・電子相関顕微鏡法で観察した損傷のない葉緑体の形状情報を回折パターンからの試料像の再生に利用し,XFELを利用したCXDIでは再生が困難だった比較的大きな試料のイメージングにも成功した。
 今回,試料と金粒子集合体に同時にXFELを照射することで,金粒子からの強い回折シグナルで試料由来の微弱な回折シグナルを増強し,従来よりも高分解能の情報 を持つ回折データを観測できることも実証した。本研究の実験手順を応用することで,XFELの効率的な利用が促進され,低温XFEL-CXDI法が生命科学の発展に大き く貢献していくと期待される。

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